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土木工事の最前線、水谷平を見てきました。
富山県は自然災害の少ない県と言われていますが、
それは土木関係者の命懸けの工事によって護られています。
かつて富山県は、3000m級の山々から流れ出る急流河川の、
度重なる甚大な水害に悩まされてきました。
石川県とはもともと同じ県でしたが、治水を求める富山側と、
道路建設を求める石川側で折り合いがつかず、紛糾の末、
分県で誕生したのが富山県です。
県費の9割を治水に充てていた時期もあったと言います。
中でも、常願寺川上流域の立山カルデラ砂防工事は、
富山で暮らす私たちの生活を、直接的に護っていると言えます。
山崩れでカルデラに堆積した、4億立米の土砂が流出すれば、
富山平野は平均2mの土石流に埋まると言われています。
それを食い止めているのが、砂防ダムをはじめとする、
立山カルデラの国直轄の公共工事です。
工事関係者の話では、近年、土建会社の相次ぐ廃業で、
予定価格も合わず、受け手がいない公共工事も頻出し、
今年は3本の工事が、入札不調で未実施だったそうです。
落札しても、工事に必要な台数のコンクリートミキサー車が
調達できなかったり、実際に工事をする人間がいなかったりと、
課題は山積みだそうです。
工事関係者が最も心を痛める課題は、技術の継承です。
土木の分野で働く人が減り、現場経験のある人が少なくなって、
このままでは土木技術のレベルが保てないと言っていました。
技術革新により、工事はとても便利にはなっていますが、
例えば重機やクレーンなどの無人化技術も、
実機での経験があるから遠隔操縦ができるわけで、
初心者でもできるというわけではないようです。
土建会社というと、公共工事頼みで、談合や賄賂など、
マスコミからは、経営努力が足りない会社のようなイメージで
伝えられているかも知れませんが、現場で実作業をするのは、
技師などの技術屋と、「ものづくり」を生業にする人達の集団です。
その「現場力」が落ちれば、
ゆくゆくは、国土そのものが弱体化するような問題です。
私は、中小企業診断士として専門分野を絞る時に、
得意分野の「運送業」に加えて、「産廃」と「土建」を加えました。
ダンプやミキサー車や重機が活躍する土木建設の分野も、
疑うことなく私の守備範囲です。
土建会社を経営面で支援することを通して、
土木技術の継承や、私たちの生活を護る土木分野の人材育成に、
間接的ではありますが、役に立つことができたらと思っています。
昨日は、カルデラや河川の工事に直接携わっている関係者に会い、
工事にかける情熱に触れて、その想いをさらに強固にする1日でした。