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富山県は、降り続く大雨で、土砂災害警戒情報が出ました。
立山山麓の登山者が沢に流されたニュースも、今朝から複数報道されています。
お盆休み期間中で、多くの登山者が立山に入っていると、新聞にもありました。
今日までとなった盆休み、無理に下山しようとする人が出なければいいなと思います。
行方不明者の無事を祈るとともに、これ以上の災害が出ないよう祈ります。
ところで、富山県の治水と山留の歴史には壮絶なものがあります。
黒部第四ダムをはじめとする、電力供給のための工事の歴史はよく知られています。
「黒部の太陽」という映画にもなりましたし、それ以前の黒部第三発電所の建設は、
吉村昭の「高熱隧道」という小説になっています。息の詰まる壮絶な話です。
一方で、治水や山留の歴史は小説や映画がなく、史料で知るしかないのですが、
立山カルデラに堆積した土砂を留める砂防工事の歴史など、壮絶を極めています。
そして、砂防ダムを建設する際、土木技師や作業員と共に活躍してきたのが、
山を専門とする運び屋です。
人跡未踏の山奥に建設資材を運ぶというのは、並大抵のことではありません。
工事開始当初は、「ボッカ」と呼ばれる剛力が資材を担いで山を上がっていたそうです。
(ちなみに立山砂防の工事開始は明治39年で、今から100年以上前です)
その後、工事用軌道が敷かれてトロッコで運ぶことが可能となり、
林道整備が進んで、ようやくトラックが活躍することになりました。
現代でも、有峰林道を使い、工事現場の重機や資材を上げ下ろしする運送屋さんの話は、
本当にすごいです。トラックの荷台と欄干との隙間10cm程度の狭い橋が何か所もあり、
大型重機を積んだら中央しか通れないようなトンネルも何か所もあり、
先導車・後導車をつけて、11月の降雪前にすべての重機を降ろし、
翌年の工事の始めには、先乗りして現場事務所を組み立てたりと、
トラックドライバーのやりがいを全部詰め込んだような仕事です。
富山市に住む私たちが、大雨でも安心していられるのは、
立山砂防工事に関わる土木技師、作業員のおかげですが、
(いまだに不安定な、立山カルデラに堆積した大量の土砂が流出すれば、
富山市全域が2mの土砂に覆われるくらいの土石流災害になるそうです)
その陰で活躍する運送に携わる人にも、感謝の念を捧げたいと思います。
そんなに大事な仕事をしているのに、
社会的には低く見られがちで、若者のなり手がいない土木や運送の仕事、
少しでもその魅力を伝えていきたいと思っています。