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私は、創業物語や、企業の挑戦の物語が大好きです。
中でも群を抜いていいと思っているのは、2010年刊行の
「日野自動車の100年 世界初の技術に挑戦し続けるメーカー」
(鈴木孝著)に書かれている、日野自動車の物語です。
日野というと、「トラックやバスを作っている会社」
というイメージが強いと思いますが、かつては、
レーシングカーや乗用車も作っていた時期があり、
さらに遡れば、航空機や戦車のエンジンも作ったそうです。
物語が始まるのは1910年、
その設立には富山市出身の安田善次郎氏も関わっており、
当時の事業はガス器具の製造でした。
第一次世界大戦の軍需で成長し、
やがて自動車製造に着手し、紆余曲折を経て現在に至ります。
ここでとても重要だと思うのが、日本を代表するトラックメーカーも、
最初からトラックメーカーとして出発したわけではないという事実。
計画通りいかず、憂き目を見ながらチャンスをつかんでいく事を、
何度も繰り返していくのが、成長には欠かせないのだと思います。
この本は、社史であり技術史でもあり、写真集としても
見応えのある1冊で、見始めると仕事になりません。
文章には技術用語が多く、図解も充実していて、勉強にもなります。
ただ、小説ではないので、読みやすさはありません。
私に小説を書く才能があったなら、必ず小説化する物語です。
映像にしても見応えのある作品になると思います。
誰かが映像化する際には、何とかして協力したいと思っているのです。